社長の呟き 2021年7月号 「禁酒法時代」

日本橋倶楽部会報7月号(第502号)

【七月号】

「禁酒法時代」

 

東京の夜に酒を供する店を探し求め、アル”チュウ”ハイマー達が”百合オット”捜査官と「アンタッチャブル」の影に怯えつつも路地裏を徘徊している。1959年~63年まで米国で放映されたTVドラマシリーズ「ジ・アンタッチャブルズ」は日本でも1961年から「アンタッチャブル」として放映され、大人気を博した。また1987年公開の同名映画を観て、米国史上最悪と言われた1919年の「国家禁酒法(ボルステッド法)」を知った世代も多かろう。(この映画では昨年亡くなった名優ショーン・コネリーがアカデミー・助演男優賞を獲得している)ノルウェー移民の子であった「エリオット・ネス」は実際にはFBI(連邦捜査局)ではなく、財務省・酒類取締局の捜査官であり、皮肉にも晩年はアルコール依存症となってしまう。また”カポーン”と発音しないと米国では通じないマフィアのボス「アル・カポネ」は禁酒法では起訴されず、脱税罪で投獄されている。この禁酒法は主に人里離れた山奥で密造された「マウンテン・デュー(山の雫)」や「ムーン・シャイン(月の輝き)」と呼ばれたウィスキーを密売したマフィア組織を反って巨大化させてしまい、1933年に廃止される。コロナ禍の日本の過剰な飲酒制限を憂い、密かに盃を伏す。小堺