ふるさと食文化の旅:富山

富山

富山県の北には深い海底谷があり、暖流が流れ込む富山湾に面する。陸地の東には飛騨山脈、南は飛騨高地、西は宝達丘陵・両白山地が連なり、他県との境をなす。これらの山岳地帯からは黒部川・神通川などが流れ出し、富山平野を形成している。古くは北海道の産物を大阪へ運ぶ北前船は、富山に大量の昆布を運んだ。今でも、存在している昆布巻き蒲鉾や昆布締め魚は、昔の昆布の利用の名残であろう。

郷土料理

魚

富山県は、冬は氷見の寒ブリやアマエビ、初夏のホタルイカやシラエビ(富山ではシロエビといっている)など海の幸には恵まれている。年末には、射水神社の氏子たちは、神社に集まりブリを供え、神事が終わると、ブリを切り分けて親戚に配るという風習がある。
「ホタルイカ」は、刺激が与えられると海中で神秘的な蛍光を発する。神秘的光を発するために天然記念物として指定されているが、初夏の一時期の漁獲は認められた。刺身・酢味噌・天ぷら・沖漬け(醤油漬け)・甘露煮・みりん干しなどの料理がある。脚だけを集めて、素麺のような食べ方もある。

肉

「氷見牛」は、1980年代から数軒の農家で飼育していたのが、改良を重ねブランド牛になっている。緑豊かな大地、きれいな空気、美味しい水などの環境がブランド牛を作り上げたといわれている。きめの細かい肉質であるのが人気の理由である。銘柄豚には、「黒部名水ポーク」がある。黒部川扇状地湧水の伏流水がきめ細かい肉質を作り上げている。富山県産のコメと庄川の伏流水で育てた鶏の卵は「越中名水赤卵」として有名である。

野菜

氷見市近郊で栽培されている「氷見白ネギ」は白い部分が多く、ジューシーで独特の甘味があり、市場でも高く評価されている。
新川郡入善町地域で栽培している「入善町ジャンボ西瓜」の平均重量は17kgでラクビーボールのような形をしている。糖度は12度もあり、「西瓜の王様」ともいわれている。
新川郡上市町地域で栽培している「つるぎサトイモ」は保水性・通気性のよい剣岳のふもとの土壌で作られており、煮物に適している。
高岡は「孟宗竹」の産地として知られている。これは禅僧の妙意が京都からもってきたといわれている。竹の子には、刺身・酢の物・木の芽和え・あんかけ・甘煮・味噌煮・田楽・白和えなどの料理がある。

伝統料理

海産物に恵まれている

海産物の豊富な富山県には、魚介類を利用した伝統料理が多い。冬は、ブリを使った料理が有名である。「ブリ大根」はブリに含まれる栄養成分やうま味成分が大根に浸み込んでいるので、大根も美味しく食べられる。
5月は「ホタルイカ」の最盛期である。この時期は、「ホタルイカ」を生や茹でものとして味を楽しむ。保存食に加工し正月料理として供されることも多い。新鮮な「ホタルイカ」が漁獲されるので思う存分食べれる。昆布巻きや赤系の色をつけた「蒲鉾」は、富山を代表する練り製品である。

行事食

雑煮は角餅と丸餅を使うところがある

富山の雑煮は、角餅を軟らかく茹でてから、茶碗の中に入れ、別の鍋に煮ておいた具の入っただし汁をかける。だし汁は、鍋に水を入れて火にかけ、手作りのすり身で作る。具は、油揚げ・豆腐・ニンジンなどを使い醤油味に仕立てる。餅は焼いて使うところもある。
1月15日の農家の小正月では、その年の収穫を祈願し、「小豆ぞーん」という小豆汁団子のようなもの作って祝う。正月に食べるものとして、輪切りにしたカブに塩蔵したブリを薄くスライスしたものを挟んで、麹で漬け込んだ「かぶらずし」がある。

食のこぼれ話

「かぶらずし」か「大根ずし」

石川県から富山県にかけて有名な伝統食品には「かぶらずし」が知られている。輪切りにしたカブの間に、薄くきった塩ブリを挟み、幾段にも重ねて麹漬けにする。食べる日から逆算して製造する日が決まる。出来上がったら酸味が生ずる前に食べつくさなければならない。地域的にはカブの代わりにダイコンを使った「大根ずし」が多く作られ、地元の人は「大根ずし」を好んでいる。