ふるさと食文化の旅:京都

京都

京都府の中心地京都の町は、794年~1686年にわたり1000年もの間都が置かれた。この間に皇室や公家、大社寺が残した伝統文化が多く伝わっている。古い伝統によって、京都人には独特の品格や細かい気遣いなどが伝えられ、京都以外の人々とは違った気質が身に付いているようである。たとえば、京都の人には優雅なところがあり、江戸っ子や大阪の人のようにはっきりしたことを好まないところがある。京都から東京へ持ち込まれるものは「下りもの」という。東京には京都の食文化にあこがれる人が多く、京都に製造元のある和菓子類が出回っている。京都府は日本海沿岸から南東に向けて伸びる地域であり、北部には丹波山地・丹波高地などの狭い山地があり、北部の冬は寒く降雪が多い。

郷土料理

魚

若狭湾のリアス式海岸を利用したハマチ・カキ・トリガイ・海藻の養殖が盛んに行われている。とくに舞鶴近くの「丹波トリガイ」は、豊富なプランクトンを餌にして育ったので、大きく肉質が厚く軟らかいので評判がよい。

京都の代表的なアマダイ(京都ではグジという)の塩焼きは、アマダイの甘味とうま味を引き出したものである。

肉

京都の牛肉は、酪農家が古くから恵まれた自然環境で育てているので、良好な肉質と霜降りの入った繊細な味わいで評価が高い。保存性の高い佃煮や肉味噌もある。

由良川の上流の、豊かな自然の中で飼育されている「美山豚」の美味しさも評価が高い。

京都と滋賀県の山中を中心として捕獲された野生のイノシシの料理は京都地方の名物である。

野菜

京都は地形的に海の幸に恵まれていないので、野菜の栽培が発達した。それが「京野菜」である。「聖護院大根」、千枚漬けに利用する「聖護院カブ」、乳酸菌発酵で知られている「スグキ」、「賀茂ナス」「万願寺トウガラシ」「九条ネギ」は良く知られている。「賀茂ナス」は油で揚げた場合の油の吸い方が少なく、「海老イモ」は京都料理の「棒ダラ」に欠かせない食材である。

伝統料理

「おばんざい」は「おかず」

京都の伝統食となっている「おばんざい」は、京都市民の「おかず」のことで、素材を無駄なく使うという京都の人々の倹約の精神が入っている。「だし」をとった削り節は佃煮にしてご飯のおかずとするなどは代表的な例である。これらの料理は、日常の暮らしの経験から考案されたもので、お袋の味として受継がれている家庭もある。

行事食

「ハモ料理」と「サバずし」

京都の夏祭りには「ハモ料理」と「サバずし」(サバの押しずし)が欠かせない。夏祭りの時期は、京都の和食店のほとんどで「ハモ料理」と「サバずし」を用意するので、これらを作る店は忙しい。代表的ハモ料理には、骨切りという下ごしらえをし、牡丹の花のようになる「牡丹ハモ」がある。

こぼれ話

京丹後フルーツガーリック

京都の台所といわれる錦市場に出現した「京丹後フルーツガーリック」は、ニンニクを発酵熟成したもので、外観は真っ黒であるが、ニンニクの臭みはなく甘い。発酵熟成により生成した黒の色素はポリフェノールで、抗酸化作用が期待されている。近頃は京都以外の地域でも作っていて、健康食品として注目されている。

美味しい食べ方としては、クリームチーズをつけて白ワインの供として最適である。粉末にしてカレーやゴーヤチャンプルーにかけると爽やかな味となる。