ふるさと食文化の旅:高知

高知

高知県は四国地方の南部に位置し、沿岸部は太平洋に面し、毎年台風に見まわれることは多い。黒潮の影響をうけるため温暖で、雨量の多い地域である。北部には四国山脈が連なり、県域の80%は山地で、平地は物部川・仁淀川下流の高知平野・中村平野・安芸平野がある。太平洋に面する沿岸部の中でも西部はリアス式海岸で、沿岸に生息する魚介類が多い。一部の静かな海面ではブリやマダイの養殖が行われている。伝統食品のカツオ節(土佐節)は、黒潮に沿って回遊するカツオの水揚げ量が多いことから生まれた。
高知の地名は、土佐藩の初代藩主・山内一豊により大高坂山に城を築いた際に、「河中山城」と名づけたが水害にみまわれたため、「河中」の字は縁起が悪いとして「高智山城」と改名し、さらに「高知」と改められたとの説がある。

郷土料理

魚

高知県の漁業は、カツオ一本釣りが有名である。船団を組んで、フィリピン沖から北海道沖まで黒潮にのって回遊するカツオを追って行う漁である。
高知の郷土料理には魚料理が多く、かつおのたたき、刺身、大皿に刺身や焼き魚・すしなどを盛った「皿鉢料理」がある。カツオ節を作る時に取り出した内臓を利用した塩辛「酒盗」は、酒の肴として人気のある伝統食品である。

肉

高知原産の地鶏「土佐コーチン」は、古くから闘鶏の鶏として知られていた。この種類とオオシャモを交配してできた雄と、白色プリマスロックの雌を交配して生まれたのが肉専用の鶏「土佐はちきん地鶏」である。十分な運動をさせて飼育しているため、余分な脂肪のついていない引き締まった弾力のある肉質である。天然記念物「土佐地鶏」を親に持つ地鶏の「土佐ジロー」は、卵肉兼用の鶏である。脂肪が少なく、ひきしまった肉質であることが人気である。飼料には農薬を散布しない穀物を使用している。
四万十川沿いの自然の中で飼育した「窪川ポーク米豚」は、地元のブランド米の「仁井田米」を餌に利用している。
高知の銘柄牛は、高知にしかない赤肉系の「土佐あかうし」である。

野菜

高知の伝統野菜には、「琉球」(ハスイモ)「弘岡カブ」「銀不老」(インゲンマメ)「入河内ダイコン」「十市ナス」などがある。「琉球」はサトイモの一種で、葉柄を酢の物やすしの具に利用する。「十市ナス」は、南国十市地区で昭和初期から栽培されているもので、天ぷらや煮物に利用されている。

伝統料理

イワシの卯の花ずし

土佐で獲れるウルメイワシは、美味しいとの定評がある。「イワシの卯の花ずし」の作り方は、ウルメイワシはを身肉が白くなるまで何度も水洗いして血液や生臭みを除き、塩と酢で締めて、雪花菜(卯の花=おから)に入れる。それに酢・砂糖・味醂・酒の調味液をかけ、さらにゴマ・ショウガ・刻みネギ・麻の実などの好みの薬味を添えて、10日ほど漬け込む。食べるときは、卯の花を握りずしの形にし、その上に漬け込んだイワシをのせる。

行事食

土佐雑煮は角餅を使う

四国地方の雑煮の餅は丸餅を使うが、土佐の雑煮だけは角餅を使う。餅は焼かずに、熱湯に入れて軟らかくして器に入れる。具はサトイモ・水菜・白菜・ニンニクの葉・豆腐を使い、汁は澄まし汁である。

食のこぼれ話

高知県民の酒好き

高知県の人は日本酒好きが多く、漁師はもちろんのこと、酒の強い女性も多い。1年に一度、高知県の地酒の品評会があり、各地から日本酒の愛好家が集まる。
高知県には19の酒蔵がある。高知では人との挨拶に「茶でも飲もう」ということは、「酒を飲むこと」を意味していて、飲む量も酒代も半端でなく、病院へ通う人も多い。2006年の人口10万人当たりの平均の外来患者は2188人で、全国平均の1400人よりはるかに多い。「酒はたしなむ程度に飲むのがよい」ことを示唆していると思われる。