はじめに
平成16 年3 月に国会議員から食育基本法が参議院へ提出されてから、食の大切さに対する意識や健全な食生活に対する意識が、国民全体に注目されるようになった。食育の基本的な方針の中に、伝統ある食文化の継承や「地産地消」の推進が提案されている。食育の基本的概念は子どもたちの健全な生活や健康のために提案されたのであったが、食料の生産者や消費者交流の促進、地域の活性やコミュニケーションの充実にも重要であることが提案され、少しずつ実行されている。
日本の各地域の郷土料理、伝統食品を理解することにより、昔は環境と調和した食料生産や食べ方を工夫していたことを学び、都市と農村漁村の共生・対流を考え、地域の活性化や食料自給率の向上へと結びつくと考えられる。とくに、「地産地消」の促進は、地域の特産物を認識し、地域の人々とのコミュニケーションを向上させ、地域の活性に結びつけるのに役立っている。また、自分の故郷から離れて生活している人々にとって故郷の食料や料理は、何時までも忘れないものであり、各自の味覚形成の基礎をも築いている場合が多い。
食に関する話題は、日本ばかりでなく世界の国々でも家族の間や友人・知人の間で、常に興味ある話題としてつきないものである。
2012年から、弊社のホームページ「宇平さんの独り言」で国内の「ふるさと食文化の旅」をすすめるにあたり、ブログでふれている「食のこぼれ話」も補足しながら、できるだけホームページに掲載した地域の食材や料理の興味ある話題を紹介したいと思う。
成瀬 宇平