ふるさと食文化の旅:兵庫

兵庫

兵庫県県名の兵庫は、神戸の旧名である。兵庫の港は、奈良時代(710~784)から賑やかな港であった。平清盛(1118~1181)は、福原(現在の神戸市兵庫区)に福原京を営み、幕末に開港場のひとつとして発展させた。とくに、現在の神戸周辺はヨーロッパ文化を取り入れたところが残っている。兵庫県は近畿地方の西部に位置し、日本海沿岸から瀬戸内海に面した淡路島までを含む。北部は山が多く、日本海沿岸まで山地が接近している。南部は、東は六甲山地と西を播磨平野が占め、瀬戸内海に面している。摂津・播磨・丹波・但馬・淡路の5つの地域に分けられ、それぞれ独特の気候・風土と特産物が見られる。
摂津は大阪の影響を受けているところが多く、県の南西部にあたる播磨は瀬戸内海の恵をたっぷり受けている。山間部の丹波は独特の農産物が栽培されている。日本海に面した但馬は海産物に恵まれ、淡路島は海産物に恵まれているばかりでなく、温暖な気候を利用した果樹や野菜の種類が多い。

郷土料理

魚

兵庫県の瀬戸内海に面している地域は、激流の鳴門海峡でもまれた魚がとれる。肉質がしまり脂の乗っているマダイは明石に、マガレイは淡路島近海で漁獲され、ともに抜群の味と評価されている。イカナゴは春から初夏にかけて漁獲される。明石近隣で生活している人は飴煮のような「釘煮」にして、友人・知人・親戚へ送るのが慣わしとなっている。小さいコウナゴは煮ると「釘」のように曲がるから「釘煮」の名がある。

肉

兵庫県の銘柄牛には「三田牛」「但馬牛」「神戸牛」などがある。これらの銘柄牛は、環境のよい山々に囲まれた中で、清澄な空気とミネラル豊富な伏流水のもとで飼育されていて、肉質がよく他県の牛肉より高値で流通している。
丹波地方で捕獲されるシカは、「丹波鹿肉」として有名である。三田の地鶏のモモ肉は、霜降り肉で美味しいことで知られている。

野菜

兵庫県は伝統野菜の発掘と品質の保存・普及に努めている。兵庫県の伝統野菜である「武蔵一寸ソラマメ」は、奈良時代にインドの僧侶によって日本に伝わったといわれている。
淡路島は、タマネギの産地で有名ある。
三木市を中心に、酒米として広く利用されている「山田錦」の栽培は大正時代から始まり、現在は全国1位の生産量となっている。

伝統料理

アナゴ料理

明石から姫路までの漁場で漁獲されたアナゴは美味しいので珍重されている。とくに、加古川、高砂一帯で漁獲されたものは美味しいとの評判である。7~8月が旬で、蒲焼き・天ぷら・あなご鍋・椀だね・すし種で食べる。明石附近での「蒲焼き」は、「あなごの蒲焼き」を指し、土産としても珍重されている。春先にとれる幼魚はベラタといい、酢味噌で食べる。

行事食

祭りには「サバの姿ずし」か「コノシロのすし」

秋の氏神の祭りん欠かせないのが、「サバの姿ずし」や「つなし(コノシロ)のすし」である。生の魚も塩漬けした魚も使われる。塩漬けした魚は、水に漬けて塩出しして使う。背開きまたは腹開きした魚は3杯酢につけ、細く握ったすし飯を魚に詰めて姿ずしにし、重しをして2~3日経ってから食べる。

食のこぼれ話

「そうめん」と「そば」

龍野周辺は小麦の栽培が盛んである。小麦粉を揖保川の清流を利用して作ったのが「揖保の糸」の名で知られる「そうめん」である。
一方、東部の出石は繊維や陶器の伝統産業で発達した町だが、信州の上田藩が持ち込んだ「皿そば」がある。白地の出石の小皿にそばを盛ったもので「出石食ば」の名がある。