社長の呟き 2022年1月~12月号(日本橋倶楽部会報 ”はし休め”より)

はし休め

日本橋倶楽部会報1月号(第508号)

【 一月号】

「乾 杯!」

2013年1月に「清酒の普及の促進に関する条例」が京都市で施行され、以来「乾杯条例」なるものが各地で制定された。”國酒”である日本酒の消費落ち込みに歯止めをかけようと2004年に発足した「日本酒で乾杯推進会議」が奔走した成果だが、その後焼酎やワイン、はたまた牛乳にまで拡がった。歴史家の安藤優一郎氏によると江戸時代、年貢米を換金することで歳入を賄っていた幕府や藩にとって米価を安定化することは重要課題であった。江戸初期には既に総石高の三分の一が酒造用に回されており、気候が良く、新田開発、生産技術の向上等により作高が増え、米価が下がると、酒造りを推奨して市場の主食としての米を減らし、米価を上げる。また下り酒の決済に京へ流れる金銀の流出を抑えるためにも地方の酒造を奨励した。一方飢饉時には米屋の打ちこわしなど治安が乱れるため、酒造を抑制して市場に出回る米を増やし、米価の高騰を防いだ。

さて、昨年の正月は新型コロナウィルス禍の下、”新酒”は”慎酒”に席巻され、この条例も”完敗”であった。酒はいつの時代も世情に翻弄される。

本年こそはウィルスの終息を期待し、高らかに乾杯したい。 小堺