第84回 お江戸日本橋伝承会が開催されました。(講師 戸田敏夫氏)

◆テーマ:「江戸指物師のお話し」

◆講 師: 経済産業大臣指定伝統的工芸品
      江戸指物共同組合・江戸指物伝統工芸士会 会長
      理事長 戸田敏夫(桑悦)氏

◆ 日 : 2020年9月2日(水曜日)

◆会 場: 伊場仙セミナールーム(密を避けるため広い会場での2回講演)

      東京都中央区日本橋小舟町4番1号伊場仙ビル 7F  https://www.ibasen.co.jp/

◆時 間: 第一部14:00~16:30
  第二部18:00~20:30

◆概 要:
戸田敏夫氏より「江戸指物」について学びます。
なぜ江戸指物が手になじみ住まいになじむのか?
・一人の江戸指物師が手づくりで造り上げる
・100年を超える伝統(時代の変化に適応)
・無垢材を技法により適材適所に使い分ける技(板と板を組むのに金釘や木ネジを使わない 仕口の種類)

つまり「江戸指物」は使い手と暮らしとともに生きていて、日本人の生活環境が江戸から令和になり劇的に変化する中で、環境が変わっても日本人の生活態度は変わっていないという考えのもと「日本的」な住生活を「新しい江戸指物」により提案してくれます。
さらに後半は、島桑(御蔵島産桑材)の敷板を各自で磨いてみる貴重な体験(WS)をしました。
磨き工程は非常に難しく伝承会で少しでも桑の木を磨く体験をしたい旨をお願いしやっと実現しました。端材ではなく貴重な桑の木の敷板を作って頂きました。

御蔵島の桑の木は、過酷な環境で育つので年輪が緻密で加工することで独特の黄金色になることから「金桑」「黄金桑」と呼ばれるほど希少価値があるものです。

敷板は、片面に戸田さん自らサンドペーパーを軽く表面処理をしてくださった桑の板を使い、木賊(砥草ともいう)と椋の葉で仕上げの磨き上げを行うご指導をしていただきました。(磨き上げた面と従来の桑の木表面の比較をすると、まったく違う杢目を見ることができました。)

木賊は、木製品の仕上げ工程に使用され、また滝廉太郎は身だしなみで爪を磨いたとされています。
他の講演会では絶対に学べない貴重な体験となりました。  文責:小堺ひとみ